I 新たな医療制度への対応
1 医療計画を通じた医療連携体制への積極的な参画
今回の医療法改正の一つの柱が“医療計画制度の拡充・強化等を通じた医療提供体制の確保の推進”である。新たに第5章(医療提供体制の確保)を起こし、厚生労働大臣が医療提供体制の確保を図るための基本方針を定め、都道府県は基本方針に即して、かつ地域の実情に応じて医療計画を定めることが規定された。今後国は基本方針を示すことになり、都道府県はこれまでの医療計画を全面的に見直し、新しい医療計画を作成することになる。医療計画制度の見直しにより、がん等の疾病や救急医療、災害医療等の事業別に地域の医療連携体制を構築することで、適切な医療サービスが切れ目なく提供されることになる。薬局も医療提供施設として、地域における医療連携体制の中で、調剤を中心とした医薬品や医療・衛生材料等の提供拠点としての役割を担う必要がある。
ついては、医療提供施設である薬局及びそこに従事する薬剤師は医療計画を通じた医療連携体制に積極的に参画することとし、次に示す取り組みを行うこととする。
1) 休日・夜間における調剤による医薬品等の供給>
会員薬局・薬剤師:
支部薬剤師会に協力し、輪番制等の方法による休日・夜間における医薬品等の供給を行う。
支部薬剤師会:
都道府県薬剤師会の協力及び地方公共団体(医務及び薬務主管部局)の理解を得ながら、地域における救急医療の対応状況にあわせて、当該地域の休日・夜間の医薬品等の供給体制を構築する。
都道府県薬剤師会:
地方公共団体(医務及び薬務主管部局)の理解を得ながら、支部薬剤師会の取り組みを支援する。
日本薬剤師会:
地域における休日・夜間の医薬品等の供給体制構築のための取り組みを支援する。
2) 居宅等における医療(在宅医療)への参加
会員薬局・薬剤師:
在宅医療を行う診療所や訪問看護ステーション等との連携のもと、訪問薬剤管理指導業務を通じて在宅医療に積極的に取り組む。
支部薬剤師会:
都道府県薬剤師会の協力を得ながら、地域医師会等との連携のもと、会員薬局・薬剤師が在宅医療に取り組み易い環境整備(駐車禁止除外規定車許可の取得等)を行う。
都道府県薬剤師会:
支部薬剤師会と連携しつつ、都道府県医師会等との連携のもと、会員薬局・薬剤師が在宅医療に取り組み易い環境整備(駐車禁止除外規定車許可の取得等)を行う。
日本薬剤師会:
会員薬局・薬剤師による取り組みを支援するため、①訪問薬剤管理指導に関する啓発資材(地域住民向け)の作成と提供、②在宅医療への参加のためのマニュアルの作成と提供、③「食事・排泄・睡眠・運動からみた体調チェックフローチャート(BOOK版)」の作成と提供を行う。また、駐車禁止除外指定車許可について、厚生労働省等の理解を得ながら、都道府県薬剤師会等の取り組みを支援する。
3) 終末期医療への貢献
会員薬局・薬剤師:
麻薬小売業の許可を取得し、医療用麻薬の供給を行う。
支部薬剤師会:
会員薬局・薬剤師が医療用麻薬を供給し易い環境整備を行う。
都道府県薬剤師会:
会員薬局・薬剤師が医療用麻薬を供給し易い環境整備を行う。
日本薬剤師会:
厚生労働省や医薬品関係企業の理解を得ながら、都道府県薬剤師会等の取り組みを支援する。
4) 災害時における医薬品、医療・衛生材料等の供給体制の整備
会員薬局・薬剤師:
支部薬剤師会・都道府県薬剤師会が地方公共団体と連携して行う災害時における医薬品及び医療・衛生材料等の供給体制の整備事業に協力する。
支部薬剤師会:
都道府県薬剤師会とともに地方公共団体と連携し、災害時における医薬品及び医療・衛生材料等の供給体制の整備事業に取り組む。
都道府県薬剤師会:
支部薬剤師会とともに地方公共団体と連携し、災害時における医薬品及び医療・衛生材料等の供給体制の整備事業に取り組む。
日本薬剤師会:
「薬局・薬剤師の防災マニュアル」を見直すなど都道府県薬剤師会等の取り組みを支援する。