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2004.5.24 一般用医薬品の適正使用に関する日本薬剤師会の取り組みについて

平成16年5月24日

 一般用医薬品の販売規制緩和問題については、昨年総合規制改革会議からの要求に対し、日本薬剤師会として反対の意見表明を行うとともに、同会議から指摘されてきた事項に対しては、昨年7月に「行動計画」を作成し、その徹底を図りました。また、併せて平成15年度の「薬と健康の週間」における全国統一事業として「一般用医薬品提供時の“薬剤師の相談業務”に関するデータ及び相談事例の収集」を実施しました。

 今般、行動計画の徹底状況の検証結果(第一次)と全国統一事業の結果が以下のとおりまとまりました。


1 「行動計画」の実施状況の検証結果

(1)行動計画の内容

 行動計画の内容は、総合規制改革会議等から指摘されてきた事項を中心として、次のような行動を徹底すべく、「日本薬剤師会が行う事項」、「都道府県薬剤師会が行う事項」、「支部薬剤師会が行う事項」及び「会員である薬局・薬店が行う事項」を具体的 に示し、その実施期限も示した。

 ○薬剤師の名札を着用し、責任の所在を明確にすること
 ○医薬品購入者への適切な説明、服薬指導を徹底すること
 ○夜間・休日に必要な医薬品を入手しやすいようにすること

(2)検証結果の概要(会員薬局・薬店の場合:回収率68%)

①業務中の薬剤師名札の着用については、95%程度が着用している。ただし、薬店(一般販売業)においては薬局に比較して着用率は低い。
②購入者が相談しやすい環境作りとしての店内掲示については、90%程度が実施している。やはり薬店の方が実施率が低い。
③説明等の実施状況については、予想以上の実施状況が伺える結果となっているが、更に相談・説明・指導等が実施されやすい環境整備が必要と思われる。
④「対面話法例示集」は昨年秋に日本薬剤師会で作成したものであり、特に若い薬剤師の自己研修用の使用を目的にしていたが、40%の会員がその存在を知らないとしている点は、更なる徹底方策を考える必要がある。
⑤夜間の対応については、27%程度が「対応していない」との回答であったが、73%程度は何らかの対応がなされているという結果であった。この点については、本年4月1日に厚生労働省から通知が出され、取り組みの強化が要請されているとともに、地方行政に対しても関係団体への協力要請がなされているので今後の進展を期待している。


2 「薬と健康の週間」における全国統一事業の結果及び今後の供給体制の強化

Ⅰ 全国統一事業結果の概要

(1)薬局・薬店における事業

 全国の7,297の薬局・薬店の参加により、一般用医薬品の販売時における相談・質問事例を収集した。その結果、約13万5千人が一般用医薬品を購入し、このうち約 4万人(約30%)が何らかの相談・質問を行っていたことが明らかになった。

①相談・質問の内容
○「医薬品の選択」、「効能・効果、有効性」、「用法・用量」、「副作用」、「相互作用」に関するものが多かった。
○「医薬品の選択」に関するものとしては、前立腺肥大や緑内障等の患者が、持病に影響のない医薬品の選択を相談する事例、「副作用」に関するものとしては、長期間使用している場合の副作用を心配する事例、「相互作用」に関するものとしては、高血圧、糖尿病等の生活習慣病で医療用医薬品を常用している患者が風邪で一般用医薬品を服用して良いか相談する事例などが多く見られた。

②副作用の訴えのあった医薬品の薬効分類
○精神神経用薬(風邪薬、解熱鎮痛薬等)、外皮用薬、アレルギー用薬、消化器官用薬が訴えの原因医薬品として多かった。

③副作用の主な症状
○発疹、眠気、そう痒、口渇、胃痛、便秘、悪心・嘔吐、食欲不振が多く見られた。

④薬剤師のとった措置
○「使用の中止を指示」、「服薬指導」、「薬効の同じ他の薬を推奨」、「治療のため 他の薬を推奨」、「医療機関を紹介」といった措置が多かった。

(2) 薬剤師会における事業(お薬相談の実施)

 薬剤師会として実施する事業として、都道府県薬剤師会又は支部薬剤師会において 延べ313回の「お薬相談」事業が行われ、5,137件の相談・質問を受け付けた。

①相談・質問の内容
○医薬品に関する相談・質問が最も多く4,023件(全件数の77. 6%)であった。
○医薬品のうち医療用医薬品に関するものは、2,667件(医薬品の件数の66.3%)、一般用医薬品に関するものは、841件(医薬品の件数の20.9%であった。

②一般用医薬品に関する相談・質問の内容
○「医薬品の選択」、「副作用」、「効能・効果、有効性」、「相互作用」に関するものが多かった。
 ○副作用の訴えのあった医薬品の薬効分類としては、精神神経用薬(風邪薬、解熱鎮痛薬等)、アレルギー用薬、外皮用薬、消化器官用薬が多かった。
○副作用の主な症状としては、発疹、眠気、便秘、そう痒、胃痛、口渇が多かった。

Ⅱ 今後の一般用医薬品の提供体制についての指導内容

 今回の全国統一事業の結果等に基づき、一般用医薬品の更なる適正使用を確保するため、日本薬剤師会においては改めて下記のような医薬品提供体制の整備を図ることとし、各都道府県薬剤師会を通じて指導を行ったところである。

 特に、H2ブロッカーを含有する一般用医薬品の販売に当たっての相談事例が120件も報告されており、指定医薬品については購入者が直接手を触れられない場所への陳列を指導することにした。

①一般用医薬品
○販売に当たって、相談者の副作用歴等を十分に確認すること。
○服用中に異常を感じた場合の対応を指導することや注意すべき副作用の初期症状等を販売時に説明すること。
○副作用の訴えがあった場合には、受診勧告を含め迅速な対応をとるとともに、重篤な副作用については厚生労働省へ報告すること。

②指定医薬品及びスイッチOTC薬
○指定医薬品については、購入者が直接手に取ることができない場所に陳列するなど、薬剤師の関与が必須となるような販売体制をとること。
○定医薬品及びスイッチOTC薬については、医療用医薬品の成分と共通していることから、他の医薬品との併用・相互作用、医療機関への受診の有無等さまざまな観点からの確認・相談応需を薬剤師の側から積極的に行うこと。

以 上

「消費者に対する今後の薬局・薬剤師の行動計画」実施状況の検証結果の公表並びに未実施支部・会員への指導徹底について[PDF形式、15ページ、80KB]

平成15年度「薬と健康の週間」における全国統一事業結果の報告並びに一般用医薬品の提供に係る服薬指導の充実・徹底等について[PDF形式、25ページ、251KB]